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福岡アジア美術トリエンナーレの企画者である黒田雷児が、2009年から2013年まで連載を続けた新美術新聞のコラムを、書き下ろしを加えて束ねた書籍。
多様な価値観渦巻くアジア文化とグローバルスタンダードとの拮抗、度重なるフィールドワークによって浮かび上がるオルタナティヴな美術市場など、ひとことでは言い切れない複雑なアジア美術への観察を主題とする内容から、造本においても様々な工夫を施した。
カバーでは、著者による路上観察写真を用いて手作業でコラージュしたものを撮影し裁ち落としで配置。裏面では本文にて言及されている全ての場所をマッピング。路上で見る視点と鳥の目で見る視点を、表裏の関係で構成した。
本表紙の表は西洋的な近代建築、裏では生活感漂う土着的な住処を対置させ、表裏の写真はめくる方向にあわせて小口へと延長する。
本文は新聞明朝を用いて、新聞の連載であることを直接的に示しているが、タイトルの下部には訪ねた場所をマッピングするなど、様々な読者の視点を呼び込む構造とした。
さらに本文用紙は素材も色も異なるものを織り交ぜ、内容とは無関係にマテリアルが入れ替わる。
物事の価値観をフラットに扱うグローバリゼーションとは全く異なる、アジア美術の複雑で複層的な状況を、いかに造本化するかを意図したデザインである。
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クライアント:
グラムブックス
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デザイン:
中野豪雄、川瀬亜美
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2014.Sep
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Client:
grambooks
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Design:
Takeo Nakano, Ami Kawase
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2014.Sep