横浜ハーバーシティ・スタディーズ2012

2012.09.06


先日、横浜ハーバーシティ・スタディーズという短期集中型ワークショップに

ゲスト講師として参加してきました。

このプロジェクトのディレクターを勤めている

南後由和さんと門脇耕三さんからのお声掛けです。

 

このワークショップは8日間の中で日替わりにゲスト講師が参加しながら、

横浜の都市の姿の現状をリサーチして問題点を浮かび上がらせ

発展的な都市計画の有り様について議論・検討を重ねながら

「都市の読み替え/書き替え」をテーマに提案するというプロジェクトです。

過去に2回開催され、いずれも建築系の学生が中心だったのですが、

今年は人文社会系の学生も受け入れて、より学際色の強いワークショップとなっています。

中でも特色として位置づけているのが建築学や社会学を架橋するツールとして

インフォメーショングラフィックの概念と手法を取り入れて

ヴィジュアルとしても説得力のある提案も視野に入れていることです。

そこで僕に白羽の矢が立ったのですが、

9月4日の午前にインフォメーショングラフィックについてのレクチャー、

午後に、前の3日間のフィールドワークで学生が収集した素材や統計データから導き出した仮説を巡って

どのような可視化の方法が有り得るのか?

を実際に手を動かしながら時にデモンストレーションも交えたワークショップを行いました。

 

正直言って建築や社会学を勉強している学生との接点が皆無というのもあるし、

レクチャーやワークショップそのものも僕にとっては初めての経験だったので

準備段階でも本番でも大変有意義でとにかく勉強になることが多かった。

 

グラフィックデザインの現場では、何を可視化するかの「何を」の部分は

分析の専門家が素材として仕立てて、デザイナーはそれを色や形に置き換えるだけ、

という風に見られがちだし、そういった現場の方が圧倒的に多いと思います。

ただし、情報を「いかに」組み立てるかを考える際には

必然的に「何を」の部分に踏み込まざるを得ないわけで、当然デザイナーにも

情報の有りかを見つけ出す視点、そこからどのような文脈が見えて来るかを分析する視点というのは

欠かせない行為であるはず。

その意味で、人口密度や年齢、職業、等の基礎データと

フィールドワークにおける「観察」から見えてきた属性や生態などを重ね合わせて

現状のゾーニングとそこで活動するプレーヤーとの間に生じるひずみを

様々な視点で浮かび上がらせようとしている流れはとても刺激的だったし、

グラフィックデザインを学ぶ学生も一緒になってやれるといいなぁと感じた次第です。

(一人だけムサビ視デの学生が参加していてびっくり)

 

学生は短期集中型という設定や自ら応募して参加しているという前提もあり

集中力やモチベーションが非常に高く、

そのおかげでなんとか可視化の方向性が固まり

少しはお役に立てたのかな、と安堵しています。

 

参加学生は20人、4班に分かれて4つのエリアをリサーチしながら

何を提案すべきかを朝から晩まで議論する毎日です。

しかも毎日ゲスト講師が入れ替わり、領域も全く違うからとても充実した刺激的な日々だろうなぁ。

(ちょっと羨ましい)

 

レクチャーも自分なりに文脈を考えて組み立てました。

・ハーバート・バイヤーのワールドアトラス

・ヨースト・グローテンツのメトロポリタンアトラス

・ケビン・リンチのロードマップ

・杉浦康平の主題地図

・勝井三雄の百科事典のエディトリアルシステム

・ミナールの「ナポレオン軍のロシア遠征の地図」

いわゆるインフォグラフィックの名作選的なお話です。

さらには

・エドワード・タフトの6つの原則

・ジャック・ベルタンの「図の記号学」「視覚変数」

といった諸先生が提唱する概念を参考にして

インフォグラフィックの原理を解説。

 

このスライドを作る行為自体が自分の中の引き出し再整理という意味で

大変良い機会でした。

 

とにもかくにも、

参加学生はあと3日間、がんばってほしいなぁと思います。

最終提案がどんなものになるのか、とても楽しみです。