「世界の学生の環境ポスタープロジェクト」

2012.06.18


News頁でもお知らせした武蔵野美術大学美術館の企画展

「世界の学生の環境ポスタープロジェクト」の図録制作が今現在佳境です。

展覧会の内容はこちらのムサビ美術館サイトにてご覧頂くとして、、

この展覧会の為に制作したポスターについて少し書きます。

そもそも環境問題をテーマにしたポスターデザインって凄く難しい。

思いつく限りでも、環境問題をテーマにして優れたポスターって数えるほどしかないし、

でも、ポスターデザインで度々取り上げられる素晴らしいものには

環境問題をテーマにしたものが多いのも事実。

 

それだけ難しいテーマであるし、一方で限られたスペースの中でその奥深さを

独自の視点で言い切るというのはデザイナーにとっては良い力試しでもあるわけです。

今回出展される世界各国の学生が作ったポスターを見ていると

荒削りではあるものの、個々に独自の視点と表現をなんとか結びつけようと

真摯に取り組んでいる様子が見えてきます。

こういった取り組みはメディアが多様化した現在でも、「ポスター然」とした

昔から取り組まれ、育まれている表現の探求であって、

ついつい「今っぽさ」といったニュアンスがフォーカスされがちな昨今、

こういった視覚言語としての構文法を構築する取り組みは

普遍的で非常に重要な探求だと思います。

 

さて、少し回り道したけれど、今回のポスターについて。

 

今回の命題としては「環境をテーマにしたポスターを集めた展覧会」であって

僕自身が環境問題ポスターを作ることではありません。

少しややこしいけれど、世界の学生が環境問題に向けたまなざし、

それがポスターという媒体によって定着させるための探求を見せる、

ということがテーマになります。(少しどころか、かなりややこしい)

 

出展されるポスターでは個々に設定されたテーマも様々で

温暖化、海面上昇、生態系、大気汚染、水質汚染、森林破壊などなど、色々です。

一つ一つ取り上げて説明的になるのはナンセンスなので

サブタイトルをきっかけにして、雲の切れ間から見える「目」自体が

温暖化に向ってゆっくりと変色していく地球になっている、

というヴィジュアルにすることを考えました。

 

気候変動=雲、雲の動き

世界の学生のまなざし=目

環境問題=時間の経過に合わせて変色する地球

 

といったキーワードを一つのヴィジュアルとしてオーバーラップさせて行くことにしました。

こちらを見ている目は学生達のまなざしなので、環境についての問題提起を

観る側に投げかけていることにもなります。

またよく見てみると、その「目」は網点で表現しているので

網点=印刷

という流れから、ポスターへの定着に向うことも意味することになります。

この展覧会は学生のまなざし(ポスター)を通して改めて環境問題について考えてみる

問題提起を含まれていることを表現しようと考えました。

 

というわけで、このポスターを作っているプロセス自体はとても楽しかった。。(笑。

産みの苦しみとはこのことで、何回トライしてもうまく意味が繋がって行かず

どうしても単なるコラージュになってしまう。

ようやく上記のようなキーワードの集まりが一つのメッセージになりそうな感触を得るまでが

とにかく大変だったけど、非常に良い思考のトレーニングになった。

改めてポスターの奥深さに触れることができた仕事です。

 

展覧会は7月9日からです。ぜひぜひよろしくお願いします。

 

→展覧会webサイト